今ぞ知るあかぬ別の

[詞書]男のはじめて女のもとにまかりてあしたに、雨の降るに帰りてつかはしける 今ぞ*1知る あかぬ別の 暁は 君をこひぢ*2に ぬるゝものとは よみ人しらず(後撰集・恋一・五六七) 今はじめてわかりました。名残の尽きない別れをせねばならない暁は、貴女が…

ほとゝぎす夢かうつゝか

ほとゝぎす 夢かうつゝか 朝露の*1 おき*2て別れし 暁のこゑ よみ人しらず(古今集・恋三・六四一) ホトトギスの声を聞いたと思ったのは、夢だったのか、それとも現実のことだったのか。朝露の置く暁の頃に目覚めて別れた貴女との思い出も、私にとってはそ…

有明のつれなく見えし

有明*1の つれなく*2見えし 別れより 暁ばかり 憂き*3ものはなし 壬生忠岑(古今集・恋三・六二五)*百人一首 三十番 有明の月が、まるで貴女のようにつれなく見えたあの別れから、私にとって暁の時間ほどつらいものはないのです。 (月を見るたび貴女を思…