有明の月

今来むといひしばかりに

[詞書]題しらず 今来むと いひしばかりに 長月の ありあけの月を 待ちいでつるかな 素性*1(古今集・恋四・六九一) 今からお訪ねしますと貴方が仰ったばかりに、私は長月の夜長をやり過ごし、とうとう有明の月が見える頃まで貴方を待ち続けてしまいました。…

朝ぼらけ有明の月と

[詞書]やまとの国*1にまかれりける時に、雪のふりけるを見て詠める 朝ぼらけ*2 ありあけの月と 見るまでに 吉野*3の里に 降れる*4しらゆき 坂上是則*5(古今集・冬・三三二) 夜明け頃、空に残った有明の月の光が明るく射しているのかと見紛うほどに、吉野の…

有明のつれなく見えし

有明*1の つれなく*2見えし 別れより 暁ばかり 憂き*3ものはなし 壬生忠岑(古今集・恋三・六二五)*百人一首 三十番 有明の月が、まるで貴女のようにつれなく見えたあの別れから、私にとって暁の時間ほどつらいものはないのです。 (月を見るたび貴女を思…