2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

小夜ふけてあまのと渡る

[詞書]題しらず 小夜ふけて あまのと*1渡る 月影*2に あかず*3も君を あひ見*4つるかな よみ人しらず(古今集・恋三・六四八) 夜が更けて、天上の道を渡ってゆく月の光のもと、時を忘れていつまでも貴女と契りを結んだことです。 (美しい月の光に包まれた…

おそくいづる月にもあるかな

[詞書]題しらず おそくいづる 月にもあるかな あしひきの*1 山のあなた*2も 惜しむべらなり よみ人しらず(古今集・雑上・八七七) 夜遅くに出てくる月であるなあ。山の向こうも、月が空を昇っていってしまうのを惜しんでいるかのようだ。 (きっと、私たち…

我が心なぐさめかねつ

[詞書]題しらず 我が心 なぐさめかねつ 更級*1や をばすて山*2に 照る月を見て よみ人しらず(古今集・雑上・八七八) 私は自らの心を慰めることができずにいます。更級の姨捨山に照る月を眺めていると。 (美しく照る月は私の悪しき心を明らかにして、私を…

今来むといひしばかりに

[詞書]題しらず 今来むと いひしばかりに 長月の ありあけの月を 待ちいでつるかな 素性*1(古今集・恋四・六九一) 今からお訪ねしますと貴方が仰ったばかりに、私は長月の夜長をやり過ごし、とうとう有明の月が見える頃まで貴方を待ち続けてしまいました。…

月夜よし夜よしと人に

[詞書]題しらず 月夜よし 夜よしと人に 告げやらば 来てふ*1に似たり 待たずしも*2あらず よみ人しらず(古今集・恋四・六九二) 月が綺麗です、素敵な夜ですよと貴方に知らせたとすれば、来て下さいと言っているのと同じことです。決して待っていないわけで…

おほかたは月をも愛でじ

[詞書]題しらず おほかた*1は 月をも愛で*2じ これぞこの つもれば人の 老いとなるもの 在原業平(古今集・雑上・八七九) そもそも私は月をも賛美しないだろう。月が昇って沈む、欠けては満ちる、その繰り返しが積もり積もれば、人の老いとなるのだから。 …