2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

かつ見ればうとくもあるかな

[詞書]月おもしろしとて凡河内躬恒*1がまうできたりけるによめる かつ*2見れど うとく*3もあるかな 月影の いたらぬ里も あらじと思へば 紀貫之(古今集・雑上・八八〇) 今宵の月を美しいと見る一方、薄情にも感じられてしまう。この美しい月影が届かない里…

月影にわが身を換ふる

[詞書]題しらず 月影に わが身を換ふる 物ならば つれなき人も あはれ*1とや*2見む 壬生忠岑(古今集・恋二・六〇二) もし私のこの身を月の光に換えられるなら、つれないあの人も、風情ある月を眺めるように私のことを見てくれるでしょうか。 (私は、あの…

月やあらぬ春や昔の

[詞書] 五条のきさいの宮のにしのたいにすみける人に本意はあらでものいひわたりけるを、睦月のとをかあまりになむほかへかくれにける、あり所はききけれどえ物もいはで、又の年の春むめの花さかりに月のおもしろかりける夜、こぞをこひてかのにしのたいにき…

しのぶれど恋しき時は

[詞書]題しらず しのぶれ*1ど 恋しき時は あしひきの*2 山より月の 出でてこそ*3くれ 紀貫之(古今集・恋三・六三三) 逢いたい気持ちを抑えていても、貴女を恋しく思った時は、山から月が出てくるように貴女のもとを訪ねてしまうのです。 (またすぐにお訪…

朝ぼらけ有明の月と

[詞書]やまとの国*1にまかれりける時に、雪のふりけるを見て詠める 朝ぼらけ*2 ありあけの月と 見るまでに 吉野*3の里に 降れる*4しらゆき 坂上是則*5(古今集・冬・三三二) 夜明け頃、空に残った有明の月の光が明るく射しているのかと見紛うほどに、吉野の…

ワンポイントまとめ

・助動詞「り」 ・疑問の系助詞と係り結びの法則 ・和歌の修辞『物名』 ・接続語「み」 ・時を表す単語 ・「なむ」の見分け ・已然形+「ば」 ・未然形+「ば」

おほぞらの月のひかりし

おほぞらの 月のひかりし*1 清ければ 影見し水ぞ*2 まづこほりける よみ人しらず(古今集・冬・三一六) 空に昇った月の光があまりに冷たく清らかなので、その光を見た水がまず氷ってしまったようだなあ。 (冬の澄み切った夜空は、冴え冴えとした月の美しさ…